【文献報告】構造特異的抗体がわかる新技術の開発

コンフォメーションを特異的に認識する抗体の評価を可能とする新ウエスタンブロッティング法の開発

アガロースネイティブゲル電気泳動から電気や界面活性剤を用いず、PVDF膜にたん白質の立体構造を維持したままブロットする新しいウエスタンブロット法(Contact blot法)を開発し、Biotechniques誌(先行論文公開日2022年4月6日)にて発表いたしました。
この方法により、Abwiz Bio社の抗PLXDC2 ウサギモノクローナル抗体クローン#3B8(発売予定)と抗SARS-CoV-2 Spike Proteinヒト化中和抗体が、立体構造を特異的に認識するConformation specific抗体であることを明らかにしました。同時に、抗PLXDC2 ウサギモノクローナル抗体クローン#4G3(販売中)は、ネイティブ構造も変性構造も認識可能な抗体であることも示しました。
モデルたん白質としてGFP(緑色蛍光たん白質)を用いた検討では、SDS-PAGEから転写する通常のウエスタンブロット法では、立体構造が変性し転写膜上で蛍光を消失しますが、本方法では、転写膜上でもGFPの蛍光を維持しており、ネイティブな立体構造を維持した状態で転写できていることを示しています。
この新たな簡便安価な分析法は、モノクローナル抗体の新たな特徴付を可能にするだけでなく、複合体を形成する細胞内外の複雑なたん白質の解析にも有用であり、今後、様々なたん白質研究への応用が期待されます。
なお、これら抗体は、当社製のHEK293細胞用培地(発売予定)にて調製しております。

【新規文献情報】

Sakuma C, Nakagawa M, Tomioka Y, Maruyama T, Entzminger K, Fleming JK, Shibata T, Kurosawa Y, Okumura CJ, Arakawa T, Akuta T. Western blotting of native proteins from agarose gels. Biotechniques. 2022 Apr 6.
https://doi.org/10.2144/btn-2022-0012

【キーワード】

PLXDC2 4G3, 3B8ウサギモノクローナル抗体, SCoV-2 Spikeヒト化中和抗体, HEK293細胞培地