【文献報告】「抗体の微細なチャージ変化」や「抗原抗体複合体の検出」を可能にする新しい二次元電気泳動法の開発

 ドイツの電気泳動の専門誌「Electrophoresis誌」9月号に、新しい電気泳動法を発表しました。

 本論文では、一次元目にアガロースネイティブゲル電気泳動をおこない、二次元目にSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動をおこなうという新しい電気泳動法を開発し、発表しております。

 この方法を用いることにより、抗体の等電点のわずかな差の検出や抗CTX-Mウサギモノクローナル抗体(Abwiz Bio社 #2626)と抗原であるCTX-M酵素との抗原抗体複合体の検出を可能にしました。
 特に一次元目のランニングバッファーに100 mM His/100 mM MES (pH 6.1)バッファーを用いることで、従来のトリス・グリシンバッファー(pH 8.3)では、分離が不十分であった抗体等の塩基性タンパク質をネイティブな立体構造を維持した状態で分離を可能にしました。

 また、巨大タンパク質であるマウスIgMモノクローナル抗体(1,000 kDa)や大腸菌のβガラクトシダーゼ(400 kDa)も一次元目で活性を維持した状態で泳動され、二次元目でサブユニットの分析にも成功しています。

 この新たな二次元電気泳動法は、モノクローナル抗体の新たな特徴付を可能にするだけでなく、複合体を形成する細胞内外の複雑なたん白質の解析にも有用であり、今後、様々なたん白質研究への応用が期待されます。

 ※これら抗体は、当社製のHEK293細胞用培地(発売予定)にて調製しております。

【新規文献情報】

Nakagawa M, Tomioka Y, Sakuma C, Kurosawa Y, Shibata T, Arakawa T, Akuta T.
Development of a novel two-dimensional gel electrophoresis protocol with agarose native gel electrophoresis.
Electrophoresis 2023 Sep;44(17-18):1446-1460.
doi: 10.1002/elps.202200255.

【キーワード】

抗CTX-M ウサギモノクローナル抗体, HEK293細胞培地


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