Pronase/EDTA for Stem 技術情報

ヒトiPS/ES細胞の分散液として最適化

本製品は、ヒトiPS/ES細胞の剥離・分散に適した試薬です。
プロナーゼは放線菌(Streptomyces griseus)が分泌するプロテアーゼの混合物で、広範囲な基質特異性を持ち、トリプシンとは異なる酵素作用様式で各種タンパク質を効率よく分解します。
「CP-5E」とセットで使用することで、高い生着率を得られます。

特徴

  • オンフィーダー培養、フィーダーレス培養両方に使用可
  • シングルセルから均一な細胞塊まで分散の状態を調整可
  • Ready-to-Use
  • 動物由来原料不含

【特許取得】
特許第5804437号 幹細胞保存媒体 幹細胞保存方法および幹細胞保存システム(極東製薬工業株式会社/理化学研究所)

製品コード 製品名 用途 容量 貯法 希望小売価格
28111 Pronase/EDTA for Stem iPS/ES細胞用分散液 100 mL -15℃以下 12,000
使用説明書 プロトコル SDS リーフレット

組成情報

  • 75 mg/L プロナーゼ
  • 0.2 mM EDTA
  • D-PBS (―)

実例集

1. CP-5E & Pronase/EDTA for Stemを用いた凍結保存法の検証

融解後の高い生存率・ALP染色陽性・増殖能に変化がないことを確認しています。また、未分化状態維持マーカーの発現・分化能・染色体の安定性が確認されており、凍結融解前後で細胞の性質が変化しないことを明らかにしました。(詳細は“ 第87回 日本組織培養学会 ポスター発表” をご確認ください)

A. ヒトiPS/ES細胞 各2株における
凍結融解後の生存率
B. 凍結融解前後のALP染色陽性像
(ヒトiPS細胞株 201B7)
C. 凍結融解前後における増殖曲線
(ヒトiPS細胞株 201B7.青;凍結前、赤;凍結融解後)

●ヒトiPS/ES細胞の凍結保存・融解方法の手順の詳細は、下記をご確認ください。

1)オンフィーダー培養の場合は、“使用説明書” へ。
2)フィーダーレス培養の場合は、“Pronase/EDTA for Stemプロトコル集” へ。

2. オンフィーダー培養したヒトiPS細胞の継代

  1. 培地を吸引除去し、PBS(-)で洗浄する。
  2. あらかじめ37℃に温めたPronase/EDTA for Stemを加える。
  3. インキュベーター内で2~5分間静置し、細胞を剥離・分散する。
  4. 先に剥離してくるSNLフィーダー細胞を吸引除去した後、PBS(-)で洗浄する。
  5. 培地を加え、セルスクレーパーにてコロニーを培養容器から剥がす。
  6. 回収した細胞縣濁液を遠心チューブに移す。
  7. 必要に応じて培地を加え、新しいフィーダー細胞上に細胞を播種する。
  8. 48時間後、培地交換を行う。
  9. 3日後以降は適宜培地を交換し、適度なサイズのコロニーになるまで培養する。

注意点

  • 細胞を剥離,分散する際の処理時間は、フィーダーの状態や細胞株によって異なります。
    ご自身の培養環境における条件設定を行ってからご使用ください。
  • 処理時間が長すぎると細胞塊が小さくなりすぎるため、播種後の培養時間の長期化や初期接着
    不良等が起こる可能性があります。凍結保存に用いるよりも短時間での処理をお勧めします。

オンフィーダー培養したヒトiPS細胞株 201B7の継代の様子
Pronase/EDTA for Stemを用いてオンフィーダー培養したヒトiPS細胞の継代ができることを確認しました。
細胞塊をフィーダー上に播種後、約1週間で次の継代が可能であることを確認しました(Scale bar; 500 μm)。

●手順の詳細は“Pronase/EDTA for Stem プロトコル集” をご確認ください。

3. フィーダーレス培養したヒトiPS細胞の継代

3-1) フィーダーレス シングルセルフラット培養したヒトiPS細胞の場合

  1. 培地を吸引除去し、PBS(-)で洗浄する。
  2. あらかじめ37℃に温めたPronase/EDTA for Stemを加える。
  3. インキュベーター内で2~5分間静置し、細胞を剥離・分散する。
  4. 培地を加え、ピペッティングにて細胞を培養容器から剥がし、シングル化する。
  5. 回収した細胞縣濁液を遠心チューブに移し、遠心(400×g, 3分, 4℃)後、上清を除去する。
  6. ROCK阻害剤添加培地を加え、あらかじめECMコートした新しいディッシュ上に細胞を播種する。
  7. 翌日、ROCK阻害剤非添加の培地に交換し、その後、毎日培地を交換する
注意点
  • 細胞を剥離,分散する際の処理時間や細胞播種密度は、細胞株によって異なります。
    ご自身の培養環境における条件設定を行ってからご使用ください。
  • 播種時は必ずROCK阻害剤を添加した培地をご使用ください。

フィーダーレス シングルフラット培養したヒトiPS細胞株 201B7継代の様子
Pronase/EDTA for Stemを用いて継代し、フィーダーレス シングルフラット培養したヒトiPS細胞は、初期接着、増殖ともに良好であり、
ALP染色陽性であることを確認しました(Scale bar;500 μm, 細胞播種数 2 × 105 cells/well, 6-wellプレート)。

●手順の詳細は“Pronase/EDTA for Stem プロトコル集” をご確認ください。

3-2) フィーダーレス クランプセル培養したヒトiPS細胞の場合

  1. 培地を吸引除去し、PBS(-)で洗浄する。
  2. あらかじめ37℃に温めたPronase/EDTA for Stemを加える。
  3. 室温で2分程度静置し、細胞間の接着が緩む程度まで処理する。
  4. Pronase/EDTA for Stemを除去し、PBS(-)で洗浄する。
  5. 培地を適量添加し、ディッシュから細胞を剥がす。
  6. 細胞を遠心チューブに回収し、ピペッティングにより適度な大きさのクランプを形成する。
  7. あらかじめECMコートした新しいディッシュ上に細胞を播種する。
  8. 48時間後に培地交換する。その後は2日に一度、培地交換を行う。

フィーダーフリー クランプセル培養したヒトiPS細胞株PFX#9の継代の様子
Pronase/EDTA for Stemを用いてフィーダーフリー培養したヒトiPS細胞の継代ができることを確認しました。細胞塊を新しいプレート上に播種後、4~6日程度で次の継代が可能であることを確認しました(Scale bar; 500μm)。

注意点

  • 細胞を剥離,分散する際の処理時間や細胞播種密度は、細胞株によって異なります。ご自身の培養環境における条件設定を行ってからご使用ください。

●手順の詳細は“Pronase/EDTA for Stem プロトコル集” をご確認ください。

4. オンフィーダー培養ヒトiPS細胞のシングル化の検討

  1. 培地を吸引除去し、PBS(-)で洗浄する。
  2. あらかじめ37℃に温めたPronase/EDTA for Stemを加える。
  3. 37℃インキュベーター内で1~3分間静置する。
  4. 先に剥離してくるSNLフィーダー細胞を吸引除去した後、PBS(-)で洗浄する。
  5. 新しいPronase/EDTA for Stemを加え、37℃インキュベーター内で3~10分間静置する。
  6. 培地を加え、ピペッティングにて細胞を培養容器から剥がし、シングル化する。
  7. 回収した細胞縣濁液を遠心チューブに移す。
  8. 遠心(300×g、5分、4℃)後、上清を除去する。
  9. 培地を加え、ピペッティングにて再懸濁する。
A. Pronase/EDTA for Stem処理後3分の細胞の様子

B. 遠心・再縣濁後の様子

オンフィーダー培養ヒトiPS細胞株 201B7のシングル化の様子
Pronase/EDTA for Stemを用いてフィーダー細胞を除去した後に、さらにPronase/EDTA for Stemで処理することにより、オンフィーダー培養したヒトiPS細胞のシングル化ができることを確認しました(Scale bar; 500 μm)。

●手順の詳細は“Pronase/EDTA for Stem プロトコル集”をご確認ください。


参考資料

FAQ

Q1. プロナーゼの由来は何ですか?


放線菌(Streptomyces griseus)が分泌するプロテアーゼの混合物で、広範囲な基質特異性を持っています。

Q2. 動物由来原料は使用していますか?


使用していません。

Q3. 保管・使用上の注意はありますか?


-15℃以下で保管してください。到着後、一度融解し小分けにして凍結保存して使用ください(凍結融解は繰り返さないでください)。使用する前に必要量をチューブ等に分取し、37℃のウォーターバスで温めてください。

Q4. 「極東プロナーゼ溶液」と「Pronase/EDTA for Stem」の違いは何ですか?


細胞の剥離時間を5分程度と伸ばし、ハンドリングしやすいように改変しました。EDTA濃度が「極東 プロナーゼ溶液」の1/3となっています。

Q5. Pronase/EDTA for Stemで処理した後の細胞塊の細胞数はどれくらいですか?


37℃インキュベーターで2~5分静置後、10~20個程度となり、処理時間を長くした場合、シングルセルの割合が増加します。1~10個程度でも保存可能ですが、融解後適度なコロニーのサイズになるまで培養日数が長くなります。

Q6. Pronase/EDTA for Stemを使ってiPS/ES細胞をシングル化できますか?


条件を変更することで、オンフィーダー培養したヒトiPS細胞のシングル化ができることを確認しています(実施例4 へ)。

Q7. どこから購入できますか?


当社代理店からご購入いただけます。代理店については下記フォームよりお問い合わせください。

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