CP-5E 技術情報

ヒトiPS/ES細胞用 凍結保存液

本製品は、当社凍害保護液「CP-1」をベースに、ヒトiPS/ES細胞用に開発した緩慢凍結保存液です。エチレンレングリコースと植物由来のHydroxyethyl starch(HES)を含む、動物由来成分不含の凍結保存液です。Ready-to-Useな試薬です。

特徴

  • オンフィーダー、フィーダーレス培養したヒトiPS細胞の緩慢凍結保存へ使用可能
  • CHO細胞等のバイオ医薬品生産用細胞株の凍結保存にも最適
  • DMSO濃度を5%に抑え、幹細胞の分化リスクを低減
  • 動物由来原料不含、タンパク成分不含
  • 組成を開示

【特許取得】
特許第5804437号 幹細胞保存媒体 幹細胞保存方法および幹細胞保存システム(極東製薬工業株式会社/理化学研究所)

製品コード 製品名 用途 容量 貯法 希望小売価格
27203 CP-5E iPS/ES細胞用凍結保存液 100 mL 1~30℃ 12,000
使用説明書 プロトコル SDS リーフレット

組成情報

  • 6% ヒドロキシエチルスターチ
  • 5% ジメチルスルホキシド
  • 5% エチレングリコール
  • 塩化ナトリウム

CP-5Eで凍結可能な細胞例 (理化学研究所、静岡県立大学 協力)

接着系細胞
ヒトiPS細胞株 253G1, 201B7 ヒト胎児肺由来繊維芽細胞株 WI-38
ヒトES細胞株 KhES-1, H1 ヒト胎児肺由来繊維芽細胞株 MRC-5
マウス脂肪前駆細胞株 3T3-L1 ヒト胎児腎由来細胞 HEK-293
ヒト膵癌細胞株 PANC-1 マウスフィーダー細胞 SNL76/7
サル腎臓由来細胞株 COS-7 チャイニーズハムスター卵巣細胞 CHO-K1
浮遊系細胞
ヒト骨髄性白血病細胞株 HL-60※ チャイニーズハムスター卵巣細胞 CHO-DP12
ヒトNK細胞株 NK-92MI マウスハイブリドーマ SJK-287-38
BC9-E5

※ 凍結解凍後の分化能を確認済み


実例集

1. 一般的な細胞の凍結保存・解凍方法

  1. 培養中の細胞を計数する。
  2. 遠心(190×g, 5分, 室温)後、上清を除去する。
  3. 凍結する細胞に応じて適切な細胞密度になるようにCP-5Eを加える。(通常は1×106 cells/mL程度)
  4. ピペッティングにて均一に懸濁する。
  5. 1 mLずつ凍結用バイアルに分注する。
  6. 凍結処理容器(例:BICELL)に入れ、-80℃のディープフリーザーで緩慢凍結する。
  7. 24時間経過後、凍結用バイアルを液体窒素または-150℃ディープフリーザーへ移す。
  1. 凍結していたバイアルを37℃の温浴で解凍する。
  2. 8割程度まで溶けたら全量を、培地9 mLを入れた15 mL遠心管へ加える。
  3. 遠心(190×g, 5分, 室温)後、上清を除去する。
  4. 適量の培地を加え懸濁し、細胞数を計数する。
  5. 常法にて細胞を培養容器に播種し培養する。

◆ 凍結保存・解凍方法のPDFは “こちらからダウンロード” できます。

2. フィーダーレス シングルセルフラット培養したヒトiPS細胞の凍結保存・解凍方法

  1. 培地を吸引除去し、PBS(-)で洗浄する。
  2. あらかじめ37℃に温めたPronase/EDTA for Stemを加える。
  3. インキュベーター内で2~5分間静置し、細胞を剥離・分散する。
  4. 培地を加え、ピペッティングにて細胞をシングル化する。
  5. 細胞縣濁液を遠心チューブに回収し、遠心(400×g, 3分, 4℃)後、上清を除去する。
  6. あらかじめ氷冷したCP-5Eを加えて、2×106 cells以上/mLになるように均一に縣濁する。
  7. 0.5 mLずつ凍結用バイアルに分注し、フリージングコンテナに入れ、-80℃で凍結する。
  8. 翌日には液体窒素または-150℃ディープフリーザーへ移す。
  1. あらかじめECMコートした6-well プレートを準備する。
  2. 凍結していたバイアルを液体窒素から取り出し、37℃の温浴で融解する。
  3. 融解した細胞を培地へ加え、遠心(400×g, 3分, 4℃)する。
  4. 上清を除去し、ROCK阻害剤添加培地を加えて再懸濁する。
  5. あらかじめECMコートしたプレートへ0.5~1.0 × 106 cells/wellになるように播種する。
  6. 翌日、ROCK阻害剤非添加の培地に交換し、その後、毎日培地交換を行う。
注意点
  • 翌日の初期接着率は、細胞株や培地, ECM処理などの条件によって異なります。ご自身の培養環境における条件設定を行ってからご使用ください。
  • 凍結前の培養条件がクランプ培養であっても、シングルセル状態にすることで凍結保存が可能です。また、融解の際にシングルセルフラット状態で培養することが可能です。

◆ 凍結保存・解凍方法のPDFは “こちらからダウンロード” できます。

3. オンフィーダー培養したヒトiPS細胞の凍結保存・解凍方法

◆ 凍結保存・解凍方法の詳細・PDFは “こちらからダウンロード” できます。

4. 評価結果(CHO細胞およびハイブリドーマの凍結保存)

バイオ医薬品等の製造に用いられる細胞株(CHO細胞やハイブリドーマ)をCP-5Eで凍結保存した結果、解凍後に高い生存率を示し、増殖能、抗体産生に変化がないことを明らかにしました。(詳細はこちら;第29回 日本動物細胞工学会 ポスター発表
CP-5Eは動物由来原料・タンパク成分不含かつ全組成が開示されています。

A. 各凍結保存液を用いた場合の解凍直後の生存率(トリパンブルー染色法)
B. 解凍直後の増殖曲線
C. 解凍後3継代目における抗体産生量
(CHO-DP12;3継代目Day 3, SJK-287-38;3継代目Day 2)

5. 評価結果(フィーダーレスシングルセルフラット培養したヒトiPS細胞の凍結保存)

フィーダーレスシングルセルフラット培養したヒトiPS細胞株 201B7を液体窒素中で1週間凍結保存し、解凍後の生存率は、80%以上であることを確認しました。また、解凍後 5 × 105 cells/wellにて播種し、翌日の初期接着が良好であること、および、解凍後3継代を実施した細胞において、ALP染色陽性であることを確認しました。

A. 解凍直後の生存率
(トリパンブルー法、各培地 N=3)
B. 解凍後の細胞の様子

6. オンフィーダー培養したヒトiPS細胞の凍結保存

解凍後の高い生存率・ALP染色陽性・増殖能に変化がないことを確認しています。また、未分化状態維持マーカーの発現・分化能・染色体の安定性が確認されており、凍結解凍前後で細胞の性質が変化しないことを明らかにしました。(詳細は”第87回 日本組織培養学会 ポスター発表” をご確認ください)

A. ヒトiPS/ES細胞 各2株における
凍結解凍後の生存率
B. 凍結解凍前後のALP染色陽性像
(ヒトiPS細胞株 201B7)
C. 凍結解凍前後における増殖曲線
(ヒトiPS細胞株 201B7.青;凍結前、赤;凍結解凍後)

7. 評価結果(2年間凍結保存したヒトiPS細胞の未分化性維持の確認)

オンフィーダー培養したヒトiPS細胞株 201B7を液体窒素中で2年間凍結保存し解凍後も、継代維持培養された細胞同様のコロニー形成とアルカリフォスタファーゼ活性陽性を示しました。さらに、凍結解凍前後に関わらずOCT3/4、NANOG、KLF4、SOX2を発現していることが確認されました。

A. コロニーの形態とアルカリフォスタファーゼ活性の確認
B. リアルタイムPCRによる未分化マーカー遺伝子発現の確認

参考資料


FAQ

Q1. なぜガラス化法ではなく緩慢凍結法ですか?


ヒトiPS/ES 細胞は、通常の細胞株とは異なり凍結・融解工程に対して脆弱であることが知られています。
従来、研究用iPS 細胞はDAP213 というガラス化液を用いて凍結保存されています。しかしながらガラス化法は、凍結時に細胞の懸濁をはじめてから15 秒以内に液体窒素に移す必要があり、また、融解時には温培地を添加し、超急速解凍するなど極めて短時間の操作が必須で、手技に熟練を要します。そこで当社はCP-5EとPronase/EDTA for Stemを開発し、ハンドリングが容易で、再現性が高い新たな緩慢凍結法を確立しました。

Q2. 動物由来原料は使用していますか?


使用していません。

Q3. 「CP-5E」と「CP-1」の違いは何ですか?


「CP-1」は造血幹細胞用凍結保存液で、使用時にヒト血清アルブミン(HSA)添加後、生理食塩水またはRPMI1640培地と等量混合し、ご使用いただけます。「CP-5E」は5%のエチレングリコールを含有し、ヒトiPS/ES細胞に最適化したReady-to-Useの凍結保存液です。

Q4. CP-5Eの保管・使用上の注意はありますか?


1~30℃で保管してください。冷蔵庫で保管いただいても問題ありません。使用直前に必ず氷冷してください。氷冷していない場合は、著しく生着率が下がる可能性があります。

Q5. 凍結する場合のストック濃度はどれくらいが適当ですか?


オンフィーダー培養の場合は低濃度(2×104 cells/バイアル)でも凍結できます。1×106 cells/バイアル程度でも問題なく凍結可能です。一方、フィーダーレス培養の場合は、1×106 cells/バイアル以上で凍結することをおすすめいたします。

Q6. 凍結する場合のストック液量はどれくらいが適当ですか?


ストック液量は1バイアルあたり0.5 mLが最適です。細胞数を増やす場合でも、液量は増やさないようにしてください。

Q7. 融解時にROCK阻害剤は添加しなければいけませんか?


オンフィーダー培養の場合はROCK阻害剤を添加しなくても培養は可能なことは確認しています。ROCK阻害剤を添加しない場合、生存率は約30%となりますので、凍結保存する細胞数を約一桁増やすことで必要なコロニー数を得ることができます。
フィーダーレス培養の場合は必ずROCK阻害剤を添加してください。

Q8. 凍結融解時は6ウェルプレートに播種してもいいですか?


6ウェルプレートでも問題ありません。高い播種濃度であれば、立ち上がりのスピードも速くなりますが、当社では以下の観点でオンフィーダー培養iPS/ES細胞を融解する際は10 cmディッシュを推奨しています。

  • 10 cmディッシュの方が、コロニーの選択が容易である
  • 高密度で播種することによりコロニー同士が接着するため、分化のリスクがある

Q9. CP-5Eで細胞はどのくらいの期間、凍結保存可能ですか?


CP-5Eで凍結保存し、液体窒素中で2年間保管した細胞について、融解後もALP染色陽性であること、およびリアルタイムPCRにより未分化マーカー遺伝子の発現も確認しております(実施例2 へ)。

Q10. どのようにすれば購入できますか?


当社代理店からご購入いただけます。代理店については下記フォームよりお問い合わせください。

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